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- 扁桃炎
扁桃炎は、のどの奥にある「扁桃(へんとう)」と呼ばれる組織に炎症が起こる病気です。
多くの患者さんが「のどが痛い」「熱がある」といった症状で受診されます。
実は、扁桃には私たちの体を守る重要な役割があるのをご存知でしょうか?
扁桃は口やのどから侵入してくる細菌やウイルスなどの異物を捕らえ、免疫反応を起こす「門番」のような働きをしています。
しかし、風邪やインフルエンザなどのウイルス、溶連菌などの細菌に感染すると、扁桃自体が炎症を起こしてしまうことがあります。これが扁桃炎です。
扁桃炎の種類
扁桃炎には主に「急性扁桃炎」と「慢性扁桃炎」の2種類があります。
急性扁桃炎
急性扁桃炎は突然発症し、激しいのどの痛みや高熱などの症状が特徴です。
原因としては、ウイルス感染が約70%、細菌感染が約30%とされています。
特に冬から春にかけての寒い時期に発症しやすく、子どもから大人まで幅広い年齢層で見られます。
急性扁桃炎の中でも、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染は「溶連菌性扁桃炎」と呼ばれ、適切な抗菌薬治療が必要です。
放置すると、まれに腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
慢性扁桃炎
長期間にわたって扁桃に炎症が続く状態です。
のどの違和感や軽い痛み、口臭などの症状が特徴で、急性扁桃炎を繰り返すことで慢性化することもあります。
また、扁桃に細菌が住みついて「扁桃隠窩(いんか)」という小さなくぼみに膿栓(のうせん)がたまることもあります。
慢性扁桃炎は完全に治すのが難しいケースもありますが、適切な治療と生活習慣の改善で症状を軽減することができます。
重症例では手術(扁桃摘出術)を検討することもあります。
主な症状
- のどの痛み(特に飲み込む時に強い痛みを感じる)
- 発熱(38~39度の高熱になることも)
- 扁桃の腫れや発赤(のどを見ると赤く腫れている)
- 白い膿点(扁桃に白や黄色の点々が見られる)
- リンパ節の腫れ(あごの下や首のリンパ節が腫れて触ると痛い)
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 食欲不振(痛みで食べられない)
- 口臭(特に慢性扁桃炎の場合)
症状の重さは人によって異なります。
軽い場合は微熱とのどの違和感程度ですが、重症の場合は高熱と強い痛みで水分も摂れないほどになることもあります。
主な原因
感染性の原因
| ウイルス感染 | 風邪のウイルス、アデノウイルス、EBウイルスなど |
|---|---|
| 細菌感染 | 溶連菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌など |
| 真菌感染 | まれですが、カンジダなどの真菌による感染 |
発症・悪化の要因
| 疲労やストレス | 免疫力の低下を招きます |
|---|---|
| 喫煙 | のどの粘膜を傷つけ、抵抗力を下げます |
| 飲酒 | 過度の飲酒は扁桃に負担をかけます |
| 乾燥 | のどの乾燥は粘膜の防御力を低下させます |
| アレルギー | アレルギー体質の方は扁桃炎になりやすい傾向があります |
| 慢性的な鼻炎や副鼻腔炎 | 後鼻漏が扁桃に刺激を与えます |
日本耳鼻咽喉科感染症研究会の報告によれば、近年は生活環境の変化や抗生物質の使用増加により、扁桃炎の原因菌の種類や抗生物質への耐性にも変化が見られます。
扁桃炎の診断方法
- 問診:症状の経過や既往歴などを詳しくお聞きします
- 視診:のどの状態を特殊なスコープで詳細に観察します
▼症状に応じて以下の検査を行うこともあります。
- 培養検査:扁桃の分泌物を採取し、原因菌を特定します
- 迅速検査:溶連菌などの特定の病原体を短時間で検出します
- 血液検査:炎症の程度や全身状態を確認します
扁桃炎の治療方法
急性扁桃炎の治療
| 抗菌薬治療 | 細菌感染が疑われる場合、適切な抗菌薬を処方します |
|---|---|
| 対症療法 | 解熱鎮痛薬、うがい薬、トローチなどで症状を緩和します |
慢性扁桃炎の治療
| 保存的治療 | うがい、抗菌薬の定期的な使用などで症状を管理します |
|---|---|
| 扁桃洗浄 | 溜まった膿栓を除去します |
| 手術療法(扁桃摘出術) | 繰り返す扁桃炎や合併症がある場合に検討します |
姫路市飾磨区のうおずみ耳鼻咽喉科では、患者様の年齢や症状の程度、生活環境などを総合的に考慮した治療計画を立てていきます。
扁桃摘出術が必要な場合は、提携医療機関にご紹介させていただきます。
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