【この記事でわかること】
めまいは誰にでも起こりうる症状ですが、何科を受診すればよいのか迷って、受診が遅れてしまう方が少なくありません。
この記事では、めまいで受診する診療科の選び方、吐き気や冷や汗を伴う場合の注意点、そして薬・漢方・市販薬の正しい考え方について、耳鼻咽喉科専門医の視点から解説します。
結論:めまいの受診先は「症状」で選ぶ
めまいの原因は、耳・脳・心臓・血圧・血液・自律神経など多岐にわたるため、診療科も複数にまたがります。迷ったときは、次の流れで判断しましょう。
ステップ1:まず「緊急性」をチェックする
次のような症状がある場合は、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心臓の病気など、命に関わる病気のサインである可能性があるため、すぐに救急受診(または救急車)が必要です。
- ・激しい頭痛がある
- ・ろれつが回らない、言葉が出てこない
- ・手足にしびれ・麻痺・力が入らない感覚がある
- ・物が二重に見える
- ・まっすぐ立てない、歩けない
- ・意識がぼんやりする、意識を失った
- ・胸の痛み、動悸、息苦しさを伴う
- ・顔の片側が下がる、ゆがむ
ステップ2:緊急性がなければ、症状から診療科を選ぶ
| 診療科の目安 | こんなめまいの場合 |
| 耳鼻咽喉科 | ぐるぐる回る、耳鳴り・難聴・耳閉感を伴う、頭を動かすとめまいが起こる、寝返りで起こる |
| 内科(循環器内科) | 立ちくらみ、動悸、血圧の変動、貧血、冷や汗を伴う |
| 脳神経内科・脳神経外科 | 頭痛・しびれ・ろれつの異常を伴う、脳の病気が心配な場合、脳の持病をお持ちの方 |
| 心療内科・精神科 | ストレス・不安が強く、ふわふわするめまいが続く |
※この表は、診療科を選ぶ目安として整理したものです。判断に迷う場合は、かかりつけ医や耳鼻咽喉科にご相談ください。
「回転性めまい」や「耳の症状」があれば耳鼻咽喉科へ
めまいの原因として最も多いのが、耳(内耳)の病気です。次のような症状があれば、耳鼻咽喉科の受診が適しています。
- ・周囲がぐるぐる回る
- ・寝返りや起き上がりで、めまいが起こる
- ・耳鳴り、耳が詰まった感じ、聞こえにくさを伴う
- ・めまいを繰り返している
- ・数分〜数時間続く発作的なめまい
こうした症状の背景には、良性発作性頭位めまい症・メニエール病・前庭神経炎・突発性難聴などが隠れていることがあります。耳鼻咽喉科では、聴力検査や眼振検査、重心動揺検査などで原因を調べ、治療方針を立てます。
詳しくは、当院のめまいページをご覧ください。
「吐き気」を伴うめまいは何を意味する?
めまいと一緒に吐き気・嘔吐が起こるのは、よくあることです。これは、内耳の平衡感覚の乱れが、脳の「嘔吐中枢」を刺激するために起こります。
吐き気を伴うめまいで考えられる原因
- ・内耳の病気(メニエール病・前庭神経炎・良性発作性頭位めまい症など)
- ・自律神経の乱れ(ストレス・睡眠不足・疲労)
- ・乗り物酔い
- ・脳の病気(脳梗塞・脳出血・小脳の病気など)
受診の目安
- ・吐き気だけでなく、水分も摂れないほど吐いてしまう
- ・激しい頭痛を伴う
- ・手足のしびれ、ろれつの異常がある
- ・吐き気が数日続いている
特に、強い頭痛や神経症状を伴う場合は緊急性が高いため、すぐに救急受診をしてください。
「冷や汗」を伴うめまいは何を意味する?
めまいとともに冷や汗・顔面蒼白・血の気が引く感じがある場合は、次のような原因が考えられます。
- ・起立性低血圧:急に立ち上がったときに、血圧が下がる
- ・自律神経失調症:ストレスや疲労で、交感神経と副交感神経のバランスが乱れる
- ・貧血:血液中の酸素運搬能力が低下する
- ・低血糖:食事の間隔が空いたり、糖尿病の薬で血糖が下がりすぎたりする
- ・不整脈などの心臓の病気
- ・脱水・熱中症
注意すべきケース
次のような場合は、心臓や脳の病気の可能性があるため、早急な受診が必要です。
- ・冷や汗とともに胸の痛み、息苦しさ、動悸がある
- ・意識が遠のく、失神しそうになる
- ・冷や汗が繰り返し起こる
めまいに「薬」は効く?種類と使い方
めまいの薬は、原因や症状によって使い分けます。
耳鼻咽喉科で処方される主な薬
- ・抗めまい薬:めまいを和らげる(ベタヒスチンなど)
- ・制吐薬(吐き気止め):吐き気・嘔吐を抑える
- ・血流改善剤:内耳の血流を改善する
- ・利尿薬:メニエール病で内リンパ水腫を軽減する
- ・ステロイド:前庭神経炎や突発性難聴で炎症を抑える
- ・ビタミン剤(B12など):神経の働きをサポートする
- ・漢方薬:体質や症状に応じて使い分ける
薬を使うときの注意点
- ・急性期(強いめまい)には薬が有効ですが、長期間の連用は、前庭代償(脳がバランスに慣れる力)を遅らせる場合があるため、医師の指示に従って使いましょう
- ・症状が落ち着いたら、薬を徐々に減らすこともあります
- ・自己判断で薬を中断すると、症状が悪化することもあるため、減らすときも医師と相談が必要です
「漢方」はめまいに効果がある?
漢方薬は、めまいの治療でもよく使われています。特に、検査では異常がはっきりしない「ふわふわするめまい」「慢性的なふらつき」に対して、体質に合わせて処方されることがあります。
めまいに使われる主な漢方薬
- ・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):立ちくらみ・ふわふわするめまい
- ・五苓散(ごれいさん):水分バランスの乱れ、むくみ、頭重感を伴うめまい
- ・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃腸が弱く、頭痛を伴うめまい
- ・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え症で貧血傾向のある女性のめまい
- ・真武湯(しんぶとう):冷えがあり、ふらつく、疲れやすいタイプのめまい
漢方薬を使うときのポイント
- ・体質(証)に合っているかどうかが効果を左右するため、自己判断での服用は避けましょう
- ・効果が出るまでに時間がかかることがあります
- ・西洋薬と併用できる場合も多く、医師に相談すれば組み合わせを検討してもらえます
めまいは「市販薬」でしのいでもいい?
めまいが起きたとき、ドラッグストアの市販薬や乗り物酔い薬で様子を見ようとする方は少なくありません。
結論から言うと、市販薬は一時的に症状を和らげる助けにはなっても、めまいの原因そのものを治す薬ではありません。そのため、「その場をしのぐ」目的で短期間使う分には問題ない場合もありますが、それだけで済ませてしまうのはお勧めできません。
その理由のひとつは、市販薬で一時的に楽になっても、背景に病気が隠れている可能性があることです。特に、突発性難聴のように早期の治療開始が回復を左右する病気は、「少し楽になったから大丈夫」と受診を先延ばしにしているうちに、治療のタイミングを逃してしまうことがあります。
また、市販薬には眠気や口の渇きといった副作用が出るものもあります。運転や仕事、育児など、日常の活動に影響が出ることがあるため、使用中は十分な注意が必要です。さらに、緑内障・前立腺肥大・心臓の病気などの持病がある方は、使用できない成分を含む薬もあります。持病のある方や他の薬を飲んでいる方は、購入前に必ず薬剤師へご相談ください。
受診前に準備しておくと役立つこと
診察をスムーズに進め、正確な診断につなげるために、次のことをメモしておくと役立ちます。スマートフォンに「めまい日記」としてメモしておくことがおすすめです。
- ・いつ・どんなときに起こったか(起床時・寝返り・立ち上がったときなど)
- ・どんなめまいか(回る・ふわふわ・立ちくらみ)
- ・どのくらい続いたか(数秒・数分・数時間・数日)
- ・耳鳴り・難聴・耳閉感の有無
- ・吐き気・嘔吐・冷や汗・頭痛などの随伴症状
- ・服用中の薬(市販薬・サプリメント・漢方も含む)
- ・持病(高血圧・糖尿病・心臓病など)
- ・最近の生活変化(睡眠不足・ストレス・疲労・風邪など)
まとめ
めまいは、「何科に行けばいいのか」を迷っているうちに、受診が遅れてしまうことがよくあります。
こちらの記事では症状に応じて受診をおすすめする診療科をご紹介しましたが、「何科か迷ったらまずは耳鼻咽喉科へ」という選択もあります。耳鼻咽喉科では、めまいの原因として最も多い耳の病気をしっかり調べ、必要に応じて他の診療科へご紹介します。
姫路市飾磨区のうおずみ耳鼻咽喉科では、めまいの原因を丁寧に調べ、一人ひとりに合った治療をご提案します。「このめまい、どうしたらいいかな」と思ったら、お気軽にご相談ください。




